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2006年8月 6日 (日曜日)

典子44歳いま、伝えたい

        Noriko

今朝の読書は,典子44歳いま、伝えたい(白井のり子著)です.

著者の白井のり子さんは,1962年1月生まれ.

ワタシより少しお姉さんですが,同世代と言っていいでしょう.

彼女は先天的に両腕がない,

サリドマイド児(参考文献1 参考文献2)として産まれました.

当時はあざらし症と呼ばれました

またこの本を読んで初めて知ったのですが,

彼女は生まれつき右目の視力がないそうです.

これも薬害によるものです.

高校を卒業して市役所に就職し一年経った1981年に

運命の映画に出演することになります.

「典子は,今」です.

解説
サリドマイド禍を克服して、熊本市職員として働く辻典子さんの半生を本人の主演で描く。脚本、監督は「ふたりのイーダ」の松山善三、撮影は石原興がそれぞれ担当。

監督の松山さんの奥さんがあの高峰秀子さんで,典子さんに演技指導したそうです.

この映画出演が彼女を全国的な有名人にしてしまいました.

本当の自分と異なる「典子」が形作られてしまいました.

様々な葛藤があり,彼女は映画の「典子」を封じ,

マスコミを一切シャットアウトし,

普通の女性として生きていく決心をしました.

名前も「のり子」と表記することにしました.

その後,1983年に結婚,1984年に長女の出産,1995年に長男の出産を経て,

彼女はまた,今の「典子」を知って欲しいと講演活動,執筆活動を始めました.

この本には,「典子は,今」あれから25年というサブタイトルが付いています.

ワタシは残念ながら映画を観ていないのですが,

(DVD化もされていないようです(;_;) )

この25年の沈黙の期間の「のり子」さんについて,

また現在の「典子」としての気持ち,考えを知ることができて,

良かったと思います.

ワタシのお気に入りは,

最後のページの三行のメッセージ,

せっかく授かった命,限られた命.
いつもいつも
今を大切に! 楽しく生きていたいのです.

そして,118ページのお写真

まだ赤ちゃんの恵さん(長女)がお母さんののり子さんに

自分の離乳食をスプーンで食べさせてあげているシーンです.

タイトルは,娘からママへ「ハイ,アーン,おいしい?」です.

 

白井典子 公式ホームページ

 

《サリドマイド薬害について》

有名な薬害は多々ありますが,

ワタシが初めて知った薬害は,このサリドマイドによるものでした.

サリドマイドは睡眠薬です.

早く深い睡眠状態に入れる上に副作用が少なく,

大量に飲んでも死亡しないことから自殺防止の効果もあったのです.

安全な睡眠薬として一般的に広く使われるようになりました.

しかし,妊娠初期にこれを服用した妊婦から

手足に奇形がある子供(サリドマイド児)が産まれる

という薬害が発生したのです.

妊娠後期の女性,妊娠していない女性や男性にはこの副作用はありません.
他の副作用はありますが.

睡眠薬サリドマイドは,

妊婦のつわりの苦痛を緩和する目的でも使われていたのです.

胎児に悪い影響を与える副作用がある(催奇形性がある)薬を

わざわざ妊婦に使用していたのです.

この薬の危険にいち早く気付いた諸外国は,

1961年11月に販売停止・回収の措置を取りましたが,

日本では売り続けられ,1962年9月にようやく販売停止・回収となりました.

この遅れた一年の間に,200名近くの犠牲者が発生してしまいました.

また回収が不完全であったことから,

1969年まで薬害は続いたのです.

サリドマイドに寄る薬害は,

ワタシがヤクザママのお腹にいた時期とほぼ同時期に起きました.

学生時代にヤクザママから,

「私はつわりがひどくて苦しかった.もともと薬が大嫌いだから飲まなかったけれど,そうじゃなかったらサリドマイドを飲んでいたかもしれない」

と言われたことがあります.

ワタシ自身に原因不明の先天性の奇形(軽度の機能障害)があることもあり,

例えワタシがヤクザイシでなかったとしても,

非常に身近に感じたであろう事件です.

 

《20080114追記》

「典子は,今」がDVD化されました!(コチラ

 

 

こちらの記事もどうぞ → 敗者復活

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コメント

この映画で印象的な言葉があります。
典子さんが何かに挑戦しようとするとき
周りが心配して「やめときなさい」と言います。
彼女は「私、やってみる」と言いながら
イロイロなことに挑戦してゆくのです。
「やってみる」ことの必要性を感じられる映画です。

投稿: やな | 2006年8月 6日 (日曜日) 10:11

>やなさん

やなさんは映画をご覧になったのですね.
「もし両腕があったら何をしたいですか?」
というアホなリポーターの質問に,
「子供たちを抱きしめたいです」
とお答えになった典子さん.
彼女は凛とした,とても素敵な女性ですね.

投稿: Ginkgo | 2006年8月 6日 (日曜日) 10:48

この本は読んだことありません
映画も見てません
でも、この話は知ってます
サリドマイドは随分問題になりましたから

投稿: bakeneko | 2006年8月 6日 (日曜日) 17:21

>bakenekoさん

じわじわ売れているようです.
増刷も決まったそうで.
サリドマイドは別の薬効が見直され,
ハンセン病に伴う炎症や骨髄腫の治療に
用いられています.
もちろん使用には厳しい制限が付いています.

投稿: Ginkgo | 2006年8月 6日 (日曜日) 17:33

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